13秋闘で奮闘された仲間の皆さんへ
13秋闘で奮闘された仲間の皆さんへ
本日団体交渉にお集まりのわかやま市民生協で働く仲間の皆さん、ご苦労様でした。特に遠方から参加された皆さん、本当にお疲れ様でした。
結果について
まず一時金ですが、わかやま市民生協では2001年以降、「個々人の前年実績の年収は確保する」という名目で2000年の給与水準を元に一時金の予算が決められ、10年以上に渡りその予算に基づく月数に据え置かれてきました。
そして、昨年と今年の冬の一時金については、低い予算にさらに供給計画の達成率をかけて支給額を少なくするというものでした。
昨年度は95.8%、今年度は99.3%が予算にかけられました。月数は昨年度よりは若干アップしましたが、それでも予算満額の100%ではありません。
ただ、そのような中でも岩出中央店については、「リボーンオープン」ということでリニューアルをした結果、供給高は9月度までの累計で計画比109.9%、前年比175.1%という実績を残し、仕事量も増えるなど大変な中で奮闘したため、パートのフロアスタッフ(店舗職員)については一律でプラス5千円が加算されました。この点だけはまだ喜ばしいことだったと言えるでしょう。
一方で、本部や物流はプラスアルファの支給はありませんでした。同じように欠員の中、大変な状況で奮闘してきたにもかかわらずです。正規にもこの間と同様もちろんありません。
このように結果だけを見ると、私たちの要求した月数・金額には程遠く、なお且つ交渉の中でのさらなる上積み再回答もないという状況で、「残念な結果だった」と思われる方も多いでしょう。
人員不足の問題についても、結果的には中々採用も進まず、退職者も後を絶ちませんでした。所属長が病欠で不在であったり、あるいは所属長や副所長が配送せざる得ない中、後方業務がおろそかになってしまって組合員さんに迷惑をかけたり、また、事業所を回すのが精いっぱいで、課題の遂行にも支障が出るような状況だったと思います。この点でも今回の回答に落胆された方も多いと思います。
すべては生協組合員さんのため
しかし、私たちは単に「一時金を増やすため」、「自分たちが楽をしたいため」だけにたたかってきたのではありません。一時金も含めた賃金・労働条件・働く環境を改善することにより、生協組合員さんに本当に喜ばれ、役に立つ組織づくりをするためにたたかってきたのです。言い換えるなら、生協の発展のためにたたかってきたのです。このことにもう一度確信を持とうではありませんか。
現状の問題
とはいえ、今の日本の労働環境はブラック企業と言われる法律違反、つまりルールを無視した企業が増え、低賃金で長時間の労働をさせることが当たり前のようになってきています。また、ブラック企業でなくても正規から非正規へと、いつでも首を切れるような労働者に置き換える状況が進んでいます。確かにルールを無視した企業とルールを守る企業が同じ土俵の上でたたかわざるを得ないという理不尽さはあります。その結果、多くの企業が低きに流れていってしまうのも事実です。
また、グローバリズムの名のもと、主にアメリカの多国籍企業が国境を越えて入ってきています。彼らは安い賃金の労働者を世界中から集めて、安い商品を売っています。
わたしたちの生協も、そのような競争にさらされていることも忘れてはなりません。だから、TPPのような国を売り渡すような政策をやめさせる国民的なたたかいも非常に大切になっているのです。
労働組合にとって大切なもの
わたしたち、労働組合も今の職場の「成果主義」に慣らされてしまい、何らかの「成果」を出すことだけに目を奪われてしまった感は否めません。確かに成果を出すことは大切ですが、大切なのはそれだけではないのです。
成果と同じくらいに大切なもの、それは仲間とのつながりです。いざというときの結束です。大きな団結力です。信頼で結ばれた、ゆるぎない絆です。
労働運動にはこれで終わりというものはありません。人間はこれで満足するということがないのです。常に高みを目指す生き物なのです。それ故に、人類は進化・発展してきたと言えます。
労働者のたたかいは、特に今の自由主義経済という弱肉強食の世界の中では、不断に続けていかざるを得ないものとなっています。そして、この不断のたたかい・運動が新しい時代を切り開き、社会全体を発展させることにつながっているのです。
だから、大切なのは勝ち負け以上に力強い労働組合をつくることにあります。一つ一つのたたかいに一喜一憂している場合ではありません。長い目で見て、このわかやま市民生協が和歌山県民の役に立ち、信頼され、何があっても、他にどんなに安い商品があったとしても、ずっと生協商品を買い支えていただけるような組合員さんを増やすこと。そういう強い生協組織に変えていこうではありませんか。
そのためには自分たちの要求に確信を持ち、たとえ今日は負けたとしても次は少しでも要求を前進させるために一人でも多くの仲間を団交に連れてくる。一緒に輪を広げる努力をする。コツコツと地道な運動を身近な人に働きかけることから始める。
身の周りで、あきらめて団交には来ない、分会にも来ないという仲間もいるでしょう。でもみんなきっと本音ではなんとかしたいと思っているはずです。たたかって敗北するのが嫌で逃げているだけかもしれません。確かにがんばってたたかえばたたかうほど、負けた時のショックは大きいでしょう。だから何もしない、何も考えないという選択肢も当然生まれると思います。その心理は痛いほどよく分かります。
しかし、そういう人は心の中に不満をため込んで、仕事に対して前向きになることは難しいのではないでしょうか。自らが動くこともなく、誰かが解決してくれるのを待つ傍観者となってしまっていいのでしょうか。自分が参加しないことがさらに団結を弱めて、運動を弱めていることに気が付かずに。運動のしんどさからは解放されるかもしれませんが、でもそういう人は不幸だとは思いませんか。
はっきりと言えますが、労働組合はそういう人でも決して見捨てたりはしません。なぜなら共に働く大切な仲間だからです。いずれ分かってくれる時が来ると信じています。そういう人であっても団結する以外にわたしたちは力を発揮できないことも本当はよく分かっているはずです。あきらめないということがどれだけ大切なことか、よく分かっているはずです。
仲間を信じて前に進む
仲間を信じ、ともに手を取り、一歩ずつ前進していく。地道な活動をコツコツと積み重ねる。時に裏切られたりもするでしょう。でも決して見捨てない。そうやってひとりまたひとりと仲間を増やす。笑顔で運動を進める。脱落しそうな人には手を差し伸べる。展望を語り、自らを信じ、前に進むこと。この繰り返ししかありません。
相手の力が強ければ強いほど、わたしたちは鍛えられるのです。囲碁や将棋のような勝負の世界でもそう、相手と対戦するスポーツの世界でもそう、強い相手と戦うことなしに、自らが強くなることはありません。弱い相手とだけたたかっていたら、当然勝てるかもしれませんが、強くはならないでしょう。そこで成長が止まってしまうことになるからです。
くやしい思いをした人は、それだけ頑張った人です。そして、そのくやしさの数だけ、強くなった人です。
本当に強い人は、あきらめません。本当に強い人は人間的に優しい人です。人の痛みが分かるからです。いつかは自分たちもそんな人間になりたいと思います。そして、今日団交に参加された皆さん一人一人が、明日から共に頑張る仲間を増やしてください。そのことがきっと、明日への展望につながります。
共にがんばりましょう。
2013年11月29日
わかやま市民生協労働組合
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