2019年12月 派遣・委託についての基本的見解

派遣・委託についての基本的見解

2019年12月

派遣・委託についての基本的見解

わかやま市民生協労働組合

第33期執行委員会

1. 労働者派遣法をめぐる社会全般に対する見解

そもそも派遣労働者は、企業にとって直接の雇用責任がないため、解雇規制の枠外に置かれ雇用の調整弁として扱われてきました。

そのため1985年に労働者派遣法が制定され、派遣労働を体系上原則として禁止し、例外的に派遣対象業務を16業種だけ認めるものとしました。

しかし規制緩和の名のもと、1999年の改悪により例外的なものから原則として認められるものになり、2003年にも一定の規制をしつつ従来禁止されてきた製造業への派遣解禁などの改悪が行われました。

このような中で雇用情勢の悪化が進み、結果的に2012年には規制強化の方向で派遣労働者保護の改正が行われるに至りました。

その後も「改正」が行われ、2015年には専門26業務にはなかった派遣契約の期間制限が撤廃され、すべての業務で事業所単位と個人単位の2つの受入れ期間制限のルールが適用されることになりました。

また、政府による「働き方改革」に関連し、2020年より労働者派遣法が改正され、正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消・改善と情報開示を行うことが義務付けられます。

結局、労働者派遣法の度重なる「改正」は、規制緩和の一方で規制せざるを得ない状況も生み出すという矛盾したものとなったために生じていると言えます。このように、法律そのものが右往左往する状況は、まさに財界言いなりの自民党政治がもたらした結果であり、本来は禁止されるべき派遣労働が認められたために起こったものと考えます。

私たちは、このような情勢のもと、派遣ではなく直接雇用すべきであると訴え、派遣や請負などの不安定雇用そのものを無くすことを基本的立場としてきました。

2. わかやま市民生協における派遣労働者について

わかやま市民生協は、欠員対策として2001年12月から和歌山支所(当時)3名、橋本支所2名の共同購入の外部委託化、2004年4月から派遣労働者の受け入れをはじめました。当時私たち労働組合は、春闘や秋闘の交渉のたびごとに直接雇用を要求してきました。

しかし、2006年春闘では、「共同購入の派遣については欠員対策の措置として対応してきましたが、2007年4月で全て解除します。派遣社員の方については、勤務期間内の実績を評価し、本人の希望とあわせて採用選考を行っています」という回答が出され、2006年秋闘では「生協の必要性にもとづき、本人の意欲や派遣元の意向をふまえて検討をすすめます。」という回答で、雇用するかどうかは明確にされませんでした。結果的に2007年までに採用されたのは16名のうち2名のみでした。

また最近では、2018年における本部・組合員サービスセンターにおける派遣労働者への対応が、まさに「派遣切り」そのものであると指摘し、同年6月25日に派遣労働者の直接雇用を求める緊急団体交渉の申し入れと同時に署名行動を行ないました。

6月で8名の派遣職員が契約解除となり、一部希望者に対する面談も行われましたが、独自の採用基準に満たなかったということで不合格となりました。

翌月の7月20日に団体交渉を開催し、なぜ採用されなかったのかその理由や、不明確な採用基準について明らかにするよう要求しましたが結局明らかにはならず、労働組合からは「ブラックボックスになっている」という指摘も行われました。

その後本部でも9月に1名の派遣職員が契約期間3年のため契約解除されました。こうした結果を受けて、各職場では大幅な人員不足により多大なる肉体的・精神的苦役を強いられることになりました。

3. 委託について

2007年6月より、北部支所にて「(株)全通」という流通関連企業に、個別配送業務ではなく、わかやま市民生協の母体業務である班配送を委託するという全国でも珍しいことを行ないました。

労働組合には「通知」のみで強行したのです。目的は、環境変化と質的転換の機会をつくる、実験的に実施しノウハウを吸収する、というものでした。

配送現場で行われた研修では、偽装委託を回避するため直接指示命令が出来ず、非常にやりにくかったという声も職員から出されました。

委託であっても、結局現場で指示命令を行わざるを得ず、直接指示命令はできなくても間接的に行なえという「グレーゾーン」活用の問題も生じました。

私たちは、委託化よりも直接雇用を増やすように申し入れを行なってきました。ただ、このときの導入に関しては、あくまでも緊急避難的なものであり、委託化してどうだったのかを検証し、総括するということで譲歩しました。

ただ、偽装請負・偽装委託について危惧すべき点が生じることも少なからず起こったのは事実で、問題であると同時に今後の課題でもあると考えます。

4. 2019年11月19日の配送業務委託支所追加及び派遣職員配置について

労働組合の基本的なスタンスはこの間変わっていません。派遣・委託のような不安定雇用の労働者をできるだけ減らし、雇用の安定につながる直接雇用を基本的なスタンスとしていることに変わりはありません。

しかしながら、緊急避難的に人員不足を補う必要性については理解できるものです。ただ、いずれ正規雇用・パート雇用など、本人の意向にできるだけ沿う形での直接雇用を行うことが望ましいと考えます。

今回の件に限らず、この間、派遣や委託については、労働組合への事前協議の申し入れ等のない一方的な「通知」ですまされてきました。労使間の民主制の観点からも問題であると言わざるを得ません。2001年12月のときは、新聞に募集広告が載っていたために分かりました。こうした労働組合軽視の考えは、ひいてはすべての労働者から不信感を招くものであると危惧しています。

5. さいごに

私たち労働組合は、この先どうなるのかと不安に思う労働者の要求に応えきれなかった苦い経験を教訓とし、今後何人たりとも同じような不安を抱かせることの無いよう、たとえ一時的には派遣であっても、最終的には直接雇用が行われるよう、引き続き要求・交渉していくことを明言するものです。

以上